無印良品を展開する良品計画(7453)は、2026年9月の国内既存店+EC売上が前年同月比11.6%増だったと公表した。全店+ECでは15.8%増で、数字だけを見ると強い伸びに映る。
ただ、月次を読むときは売上の増減だけでは足りない。来店した人が増えたのか、1回当たりの買い物が大きくなったのか、前年との暦の違いはどの程度あるのか。3つを分けると、11.6%増の見え方は変わってくる。
今回は、既存店+ECの売上、客数、客単価を分け、生活雑貨・衣服・食品の数字まで追う。単月の好調を、次の月次でどう確かめるかがポイントだ。
11.6%増と15.8%増は同じ意味ではない

良品計画が公表した2026年9月の国内月次速報によると、既存店+ECの売上高前年比は111.6%、全店+ECは115.8%だった。既存店は前年期首から期末まで通年で稼働した直営店が対象で、ECは自社ネットストア分を含む。ライセンスドストアは既存店の対象に含まれない。
全店の数字には、出店による店舗網の広がりも入る。9月末時点で直営既存店は562店、全店+LSは726店。9月には3店を出店し、退店はなかった。全店+ECが既存店+ECより大きく伸びたことを、そのまま既存店の買い物の強さと読み替えないことが大切だ。
既存店+ECは、すでに動いている店と自社ECで何が起きたかを見る数字。全店+ECは、そこに店舗数の変化も重なる。
客数+1.8%、客単価+9.7%が売上を押し上げた

既存店+ECでは、客数が101.8%、客単価が109.7%だった。前年同月と比べて来店・利用した人の数も増えたが、売上の伸びには1回当たりの買い物金額の上昇がより大きく寄与した形になる。
月次では、売上がプラスなら「客足が強い」と受け取りたくなる。けれど、客数と客単価は別の動きをする。客数だけ、あるいは客単価だけで判断せず、両方を並べると、買い物の変化を読み違えにくい。
売上指数は、客数指数と客単価指数の掛け合わせで動く。9月は両方が前年を上回り、特に客単価の伸びが大きかった。
同じ見方は他の小売業にも応用できる。クスリのアオキHDの既存店売上を客数・客単価で分けた記事と比べると、業態が違っても、売上の中身を確認する順番は共通している。
生活雑貨と衣服・雑貨が二桁、食品は+6.0%

部門別では、既存店+ECの生活雑貨が113.7%、衣服・雑貨が111.6%、食品が106.0%だった。会社は、ヘルス&ビューティーやハウスウェアが引き続き好調だったことに加え、気温低下に伴う秋物需要で紳士・婦人ウェア、インナーウェアも伸びたと説明している。
売上の増加を「値上げだけ」や「秋物だけ」で片付けるのは早い。生活雑貨と衣服・雑貨がそろって二桁だった一方、食品も前年を上回った。どの部門が次月も伸びるか、また客数の変化が続くかを追うと、単月の数字を立体的に見られる。
部門別の数字は、売上の伸びの出どころを知る入口になる。商品カテゴリーごとの動きと、客数・客単価を往復して見るとよい。
秋物需要だけでなく、土日祝日が1日多かった

9月は前年より土日祝日が1日多く、良品計画は売上へのプラス影響を2ポイントと示した。11.6%増のすべてを商品力や消費者の変化として読むのではなく、暦の条件を別に置く必要がある。
これは数字を小さく見るための注釈ではない。小売の月次は、気温、祝日、セール、出退店など複数の条件が重なる。会社の説明にある秋物需要と部門別の伸びを確認しながら、前年と比べやすい条件かどうかを一緒に見るのが自然だ。
11.6%増は公表された事実だが、前年より土日祝日が1日多いことによる+2ポイントの影響も開示されている。単月だけで通年の勢いを決めつけない。
次の月次で確かめたいのは客数と部門別の続き方
次の10月月次は11月4日に公表予定だ。9月は、既存店+ECの客数と客単価がともに前年を上回り、生活雑貨と衣服・雑貨が二桁で伸びた。ここから見るべきなのは、客数が続くか、秋物の需要がどの部門に残るか、そして暦の差が小さい月に数字がどう変わるかだ。
無印良品の月次は、家計に近い日用品・衣服・食品の買われ方を一枚で見られる資料でもある。売上だけで終わらせず、既存店か全店か、客数か客単価か、部門別かを順に追うと、次の開示で確認したい点がはっきりする。
確認の順番は、既存店+EC、客数、客単価、部門別、暦の差、店舗数。数字を分けることで、強さと一時的な条件を混同しにくくなる。
※本記事は公表資料に基づく情報提供であり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。
