北海道電力は2026年11月1日から、託送料金の見直し分を電気料金に反映します。たとえば従量電灯Bで契約電流30A、月230kWhを使う家庭のモデルでは、燃料費等調整額を除く比較で月481円、4.3%の増加です。
同じ9月25日、同社は2027年3月期の連結経常利益予想を300億円程度から460億円程度へ、親会社株主に帰属する当期純利益予想を220億円程度から330億円程度へ修正しました。請求書には負担増、企業の開示には上振れ。二つのニュースを混ぜずに読むと、何が変わるのかが見えてきます。
この記事では、11月からの料金見直しで確認できる数字、家庭ごとに額が異なる理由、そして北海道電力の業績予想を読むときの注意点を分けて整理します。
11月1日から何が変わる?

北海道電力の公式資料によると、北海道電力ネットワークの託送料金が見直されることを受け、規制料金、低圧自由料金、高圧・特別高圧料金に変動分を反映します。託送料金は、送電線、変電所、配電線といった電気を届ける網を使うための料金です。
今回の背景として会社は、送配電網側での物価や金利の上昇影響を挙げています。発電した電気の値段だけでなく、遠くから安定して届けるための設備・保守にかかるコストも、料金の一部になっているわけです。
まず押さえたい日付
料金単価の見直しは2026年11月1日からです。燃料費等調整額や再エネ賦課金まで含めた実際の請求額は、月ごとの条件で別に動きます。
電気を安定供給するには、燃料、発電設備、送配電網を切り分けずに見る必要があります。海外の例ですが、JERAのハワイLNG計画も、発電所だけでなく燃料の受け入れと系統を一体で考える提案でした。
月481円増は「全世帯共通」ではない

会社が示した従量電灯Bのモデルは、30A・月230kWhです。見直し前の11,115円が11,596円となり、差額は月481円です。この比較には消費税相当額と再エネ賦課金が含まれますが、燃料費等調整額は含まれません。
同じ従量電灯Bでも、30Aの基本料金は1,254円から1,716円30銭へ変わります。一方、電力量料金は最初の120kWh、120〜280kWh、280kWh超の各段階で1kWh当たり8銭の上昇です。使用量と契約電流が違えば、影響額も変わります。
請求書で見る順番
契約メニュー、契約電流または契約容量、月間使用量を確認してから、北海道電力の試算ツールを見るのが近道です。230kWhのモデルだけを自宅の確定額として受け取らないようにしましょう。
なぜ業績予想も上方修正されたのか

北海道電力は連結業績予想の修正で、売上高を9,700億円程度から1兆250億円程度へ、経常利益を300億円程度から460億円程度へ見直しました。純利益予想は220億円程度から330億円程度です。
理由は一つではありません。資料には燃料価格などの上昇に伴う燃料費等調整額、他社販売電力料の増加、そして物価・金利上昇を反映した託送料金の見直しが並びます。したがって、家庭向け料金の改定額だけを取り出して「その分だけ利益が増える」と読むのは正確ではありません。
前提も一緒に確認する
修正後の見通しは、為替を1ドル160円程度、原油CIF価格を1バレル110.0ドル程度などと置いた会社予想です。実績や将来の株価を示す数字ではありません。
配当は今回の修正で変わったのか

業績上方修正が出ると、すぐに増配を連想しがちです。しかし、同社の補足資料では普通株式の2026年度配当予想は中間16.5円、期末16.5円、年間33円のままで、今回の修正による変更はありません。
これは「業績予想」「料金単価」「配当予想」がそれぞれ別の開示項目だという例でもあります。数字が良く見えるニュースほど、どの数字が会社の予想で、どの数字が実際に適用される料金なのかを分けて確認したいところです。
投資判断の注意
利益予想の上方修正は、燃料価格、為替、販売電力量などの前提が動けば変わり得ます。配当予想が据え置かれた点も含め、見出しだけで還元策の変更まで読み込まないことが大切です。
家庭・事業者・株主が次に確認すること
家庭では、11月以降の最初の検針分で、契約内容と使用量に対する影響を試算します。事業者は低圧だけでなく高圧・特別高圧の契約単価、契約電力、稼働時間を分けて確認すると、コスト管理の論点が明確になります。
株主が見るなら、料金改定だけでなく、会社が置く燃料・為替前提、販売電力量、次の決算で実績がどこまで近づくかです。北海道電力の発表は、送配電網のコストが家計と企業開示の両方につながることを示しました。まずは自分に関係する契約条件を確認し、その次に会社の前提と実績を追う順番が、数字を読み違えにくくします。
本記事は公開情報を整理したもので、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で、最新の会社開示を確認してください。