ANAホールディングスは2026年6月25日、2028年度に予定していた「ANAスーパーフライヤーズカード」(SFC)の特典制度改定について、内容を再検討すると発表しました。

4月に発表された「年間300万円のカード決済」という厳しい条件に対し、SNSなどでユーザーからの猛烈な批判が殺到したことが背景にあります。なぜこのような事態になったのか、最新の動向を整理します。
2026年4月に発表されたSFC改定案の振り返り
まずは、再検討の対象となった当初の改定案(2028年4月適用予定)の内容を振り返ります。
突然の「年間300万円決済」という壁

4月の発表では、SFC会員を年間のクレジットカード決済額に応じて2つの区分に分けるという衝撃的な内容でした。
- 「SFC PLUS」:年間決済額300万円以上。ANAラウンジの利用やスターアライアンスゴールド資格を従来通り維持。
- 「SFC LITE」:年間決済額300万円未満。ANAラウンジの利用が不可となり、スターアライアンスシルバーへ降格。
※100万ライフタイムマイルに到達しているミリオンマイラーは無条件で「SFC PLUS」が付与される特例がありました。
崩壊した「SFC修行」の前提

これまでSFCは、一度厳しいフライト実績を積んで取得さえすれば、クレジットカードの年会費を支払うだけで半永久的に上級会員資格を維持できる「一生モノ」のステータスとして絶大な人気を誇っていました。
しかし、この改定案によって毎年300万円という高額な決済ノルマが課されることになり、「SFC修行の意味がなくなる」と多くのユーザーから悲鳴が上がりました。
なぜANAは異例の見直しに踏み切ったのか?
一度公式発表した重要な制度改定を、わずか2ヶ月で見直すのは極めて異例の事態です。その背景には以下の要因が絡んでいます。
SNSでの大炎上とユーザーの離反
改定案の発表直後から、X(旧Twitter)などのSNSでは「大改悪だ」「長年のロイヤリティを裏切られた」といった声が溢れました。
ラウンジの混雑緩和や収益性改善という企業側の意図は一部で理解されつつも、月額25万円ペースの決済は一般的なビジネスパーソンにとって現実離れしたハードルです。結果として、発表直後にSFCカードを解約したり、ライバルであるJAL(日本航空)のJGCへ移行を検討したりするユーザーが続出する事態となりました。
株主総会前日の発表と社長の謝罪
見直しが発表された6月25日は、奇しくもANAホールディングスの定時株主総会の前日でした。
翌26日の総会では、株主からSFC改定に関する厳しい質問が集中しました。平澤寿一社長や芝田浩二社長は、ラウンジ混雑解消などが目的だったとしつつも、利用者の気持ちに十分応えられなかったとして陳謝し、「寄せられた意見を反映させる」と再検討を明言しました。
再検討後のSFC制度はどうなる?今後の予想シナリオ
ANAは、再検討した制度改定の詳細を2026年9月末までにあらためて案内するとしています。どのような着地点になるのか、考えられるシナリオをまとめました。

決済金額ハードルの引き下げ
最も現実的で有力なシナリオは、年間300万円という基準額の大幅な下方修正です。
例えば、年間100万円から150万円程度であれば、多くのユーザーが日常的な支払いをANAカードに集約することで達成可能となり、不満も落ち着く可能性があります。
ライフタイムマイルや搭乗実績の考慮
クレジットカードの決済金額一辺倒ではなく、過去のフライト実績(ライフタイムマイル)の基準を引き下げて評価したり、年間の搭乗回数を考慮した救済措置が導入されるかもしれません。航空会社への純粋な貢献度を測る指標を取り入れることで、長年のロイヤルカスタマーを保護する狙いがあります。
利用回数制限の導入
条件未達の場合は完全にラウンジ利用を不可にするのではなく、「年間〇回まで」といった回数制限を設けることで、ライトユーザーの引き留めを図る折衷案も考えられます。
SFC会員が今すぐやるべき対策とは?
激動のマイレージプログラムにおいて、ユーザーはどのように立ち回るべきでしょうか。
9月末の正式発表までは冷静に待機する
現状はあくまで「見直しを検討中」であり、完全に白紙撤回されたわけではありません。
感情的になってすぐにカードを解約したり、一般カードへダウングレードしたりするのは得策ではありません。まずは今年9月末に予定されている新制度の詳細発表を冷静に待ちましょう。
決済の集約に向けた準備を進めておく
どのような条件に落ち着くとしても、クレジットカード決済額が評価の重要な指標になる可能性は依然として高いです。
今のうちから、家賃、光熱費、通信費、保険料などの固定費や、ふるさと納税などの大きな支払いをANAカードやANA Payに集約できるか見直しておくことをおすすめします。家族カードを発行して、世帯全体の出費をまとめる体制を整えておくのも非常に有効な手段です。
まとめ
ANAのSFC制度改定は、ユーザーの強い反発を受けて異例の再検討という展開を迎えました。

ラウンジの混雑解消や収益性の向上といった企業の直面する課題と、ユーザーが長年求めてきたロイヤリティの見返りが、どのように折り合いをつけるのか今後の動向に注目が集まります。
9月末の正式発表に向けて、ご自身のライフスタイルとクレジットカードの運用方法を今一度見つめ直す準備期間に充てていきましょう。