2026年4月10日、スルガ銀行(東証プライム:8358)の株価が前日比で一時(150円)高の(2,309円)まで急騰し、年初来高値を更新しました。
かつて「地方銀行の優等生」と呼ばれながらも、2018年の不正融資問題で苦境に立たされたスルガ銀行。今回の急騰は、単なるリバウンドではなく、市場が同行を「再生フェーズ」から「成長フェーズ」へと再定義した歴史的な転換点と言えます。

本記事では、SMBC日興証券による投資判断の引き上げや、長年の懸案だった不正融資問題の最終合意、そしてV字回復を遂げた財務状況まで、投資家が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
1. 株価急騰の2つの決定的な要因
今回のスルガ銀行株の反発には、明確な2つのポジティブ材料があります。
SMBC日興証券による投資判断の最上位引き上げ
2026年4月9日、SMBC日興証券はスルガ銀行の投資評価を「2(中立)」から最上位の「1(強気)」へ引き上げました。特筆すべきは、目標株価をこれまでの(1,500円)から(2,400円)へと一気に(60%)も増額修正した点です。

この大幅な引き上げにより、機関投資家による大口の買い戻しが活発化し、出来高は(158万株)を超える盛況となりました。
不正融資問題に関する包括的な調停成立
2018年に発覚したシェアハウス「かぼちゃの馬車」を含む組織的不正融資問題について、2026年3月18日、東京地裁において(包括的な調停)が成立しました。これにより、長らく経営の重石となっていた法的・財務的な不透明感が完全に払拭されました。
2. 不正融資問題の最終決着:その中身とは?
投資家にとって最大の懸念事項であった「負の遺産」は、以下のような形で整理されました。
- グレー案件(311件): 過剰融資の疑いがある物件に対し、総額(121億円)の解決金を支払うことで合意。
- 白案件(289件): 不正が認められなかった物件については解決金の対象外としつつも、金利を(1.0%)まで引き下げるなど、柔軟な返済支援を継続。
- ガバナンスの正常化: 裁判所の勧告に迅速に応じたことで、現在の経営陣による意思決定スピードとガバナンスの健全性が市場に証明されました。
3. 財務データが示すV字回復の実態
スルガ銀行の業績は、本業のローンビジネスを中心に力強い回復を見せています。
2026年3月期の業績上方修正
2025年11月に発表された上方修正では、純利益が期初予想から(30億円)上乗せされ、(250億円)となる見通しです。
| 項目 | 修正後予想(2026/03期) | 修正幅 |
| 経常利益 | 310億円 | +30億円 |
| 当期純利益 | 250億円 | +30億円 |
多様化する収益源
かつての特定分野への依存を脱却し、現在はバランスの取れたポートフォリオを構築しています。
- ソリューション事業(住宅・無担保): 前年同期比(46%)増と急成長。
- ストラクチャードファイナンス: (1,000億円)を超える規模まで拡大。
- 利ざやの拡大: 金利上昇局面を背景に、総資金利ざやは(0.86%)へ上昇。
4. 株主還元の強化とPBR 1倍超の定着へ
スルガ銀行は「PBR 1倍超」の維持を経営の最重要指標(KPI)として掲げており、積極的な株主還元策を打ち出しています。

- 増配の実施: 2026年3月期の年間配当は、前期比7円増の(44円)を予定。
- 自己株式の取得・消却: 2026年1月までに約(129億円)の自社株買いを実施。さらに、2026年4月17日には発行済み株式の(3.64%)にあたる株式を消却予定です。
これらの施策により、一株当たり利益(EPS)が向上し、株価のさらなる下支えが期待されます。
5. まとめ:新生スルガ銀行の投資判断
2026年4月の株価急騰は、スルガ銀行が「普通の、しかし収益力の高い銀行」へと脱皮したことを市場が認めたサインです。
今後の注目ポイント
- 次期中期経営計画で示される(ROE 8%以上)への目標引き上げ。
- デジタル活用による地域金融モデルの構築。
- 金利上昇メリットを享受できる貸出構造の維持。
PBR(1.21倍)という現在の評価は、もはや解散価値を下回る「割安な地銀」ではなく、成長期待を含んだ「バリュー株」としてのステージに移行したことを物語っています。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。